研究課題/領域番号 |
16591496
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松井 好人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (80335348)
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研究分担者 |
安井 夏生 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00157984)
加藤 真介 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (30243687)
二川 健 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (20263824)
東野 恒作 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教務員 (80380129)
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キーワード | IX型コラーゲン / 腰椎すべり症 / 遺伝子多型 / 椎間板 / 変性 / 血管新生 / VEGF |
研究概要 |
1.IX型コラーゲンのコラーゲン性部分にトリプトファン(Trp)残基を導入する2種類の遺伝子多型は、腰部椎間板変性の遺伝的危険因子であることが知られている。そこで、腰椎の臨床病態を詳細に解析・分類しこれらの遺伝子多型の疾患特異性を検討した。すなわち、腰椎手術を受けた107例を対象とし、症例を病歴、画像所見、手術所見から5群に分類し(骨折、椎間板変性、椎間板ヘルニア、腰椎すべりを伴わない脊柱管狭窄、腰椎すべりを伴う脊柱管狭窄)、各疾患群とIX型コラーゲンのトリプトファン多型との相関を統計学的に解析した。トリプトファン多型は11例に認められ、その内訳は8例が腰椎すべりを伴う脊柱管狭窄、3例が椎間板ヘルニアであった。トリプトファン多型の存在は、腰椎すべりを伴う脊柱管狭窄と有意の相関があった。従って、IX型コラーゲンのトリプトファン遺伝子多型は、すべりを伴う脊椎の変性と脊柱管狭窄が手術を要する程度にまで進展する増悪因子として働いている可能性があることが推察されたため、雑誌J Bone Joint Surgery Brに論文発表した。現在すべりを伴う脊柱管狭窄症を中心に症例を集め、研究計画に提示した手術検体の蛋白質解析を進めている。 2.椎間板変性における血管進入の意義についてトリプトファン多型との関連を明らかにするための予備実験を行った。血管新生において主要な働きをする成長因子VEGFとその受容体は、様々な程度の血管新生を伴う軟骨性腫瘍において、mRNAスプライシングによる微調整を伴い複雑に制御されていた。特に、ある種のスプライシングアイソフォームとレセプターの発現は局所浸潤の著明な腫瘍にのみ発現誘導されていたことから、細胞外マトリックス分解酵素の発現を誘導しているものとも思われ、雑誌Anticancer Resに論文発表した。現在トリプトファン多型の有無による椎間板への血管進入についてのディファレンシャル解析を進めている。
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