研究課題
基盤研究(C)
1 DPP IIIの酵素学的検討とインヒビターの検討(1)DPP IIIの酵素学的検討脳脊髄液において測定されるArg-Arg-MCAを分解する活性が、脳脊髄液中に存在するアミノペプチダーゼ活性の影響を受けず測定でき、その活性が間違いなくDPP IIIであることが確認された。当初計画にある疼痛を伴う各種疾患における脳脊髄液中のDPP III活性測定が現在進行途中であるが、これも本年度中には当初の計画にしたがって遂行できると考える。(2)インヒビターの検討合成ペプチドは全部で11種類化学的に合成し、その内、6種類ペプチドに人工的に修飾を加えた。このうち、IVYPW-NH2において、IVYPWと比較し阻害活性が十分に保たれ、また血液を添加したときの分解の半減期が延長することが、新たに判明した。将来的に疼痛抑制剤として用いることが可能となった場合この結果は価値あるものと考える。また、脳にはD型アミノ酸が存在することから、IleとValの何れかをD型に変換し、DPP IIIに対する阻害活性を調べたところ、(lle→D-Ile)の場合は阻害をするが、(Val→D-val)は阻害を全く示さなかった。これよりN末端のIleが阻害活性の中心であることが、新たに判明した。このペプチドD-IVYPWも疼痛抑制剤として用いることのできる可能性がある。2 脳脊髄液内環境におけるDPP IIIとそのインヒビターの相互関係の検討(1)脳脊髄液内におけるDPP IIIとそのインヒビターの薬物動態の検討(2)脳脊髄液内環境におけるDPP IIIとそのインヒビターの相互関係の検討2の研究計画については、ほぼ当初計画が現時点で遂行できたものと考えるが、N末端をD型のAspもしくはSerに変化したペプチドを合成し終え、活性阻害の程度・様式さらには生体における疼痛抑制実験を行っている。
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