研究概要 |
平成17年度は、損傷筋の修復過程で筋肉内に増加したNeuregulinの局在の変化を経時的に調査することにより、Neuregulinが筋の再生過程でどのように作用するかにっいて検討を行った。さらに、眠れる筋芽細胞として筋肉の再生に重要な役割を果たすとされる筋衛星細胞(satellite cell)との関連性についても検証した。 10週齢のWistar系雄ラットを使用し、前脛骨筋に塩酸ブビバカインを注入して筋損傷モデルを作製した。手術1,2,4,6,10,および14日後に手術側の前脛骨筋およびその支配神経領域である腰髄を摘出し、凍結切片を作成した。筋損傷後の修復過程を静止期、増殖期、分化期に分類し、各時期において、FITCおよびRhodaminの蛍光抗体を使用した二重染色法を用い、NRGの局在を観察した。 筋肉内のNRG蛋白およびNRG mRNAは損傷後一旦減少するものの、徐々に増加することは前回報告したとおりである。蛍光染色では、静止期においてNRGの発現は、AChRと一致していたが、satellite cellのマーカーであるC-Metとは局在が必ずしも一致しているわけではなかった。一方、増殖期では増殖幹細胞のマーカーであるPCNAやBrdUと局在が一致していた。分化期ではsatellite cellのマーカーであるMyogeninと局在が一致するNRGの免疫活性の増加を確認することができた。 以上の結果から、正常状態において神経筋接合部(NMJ)に存在するNRGは筋組織が一旦損傷されると、活性化され増殖し、筋細胞の核として働くsatellite cellと関係しながら修復、再生に重要な役割を果たしていると推察した。
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