研究課題/領域番号 |
16591507
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
辻村 敦 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (50236890)
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研究分担者 |
橋本 保 (後藤 保) 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教授 (00237942)
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (20178031)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 幹細胞 / 細胞治療 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
骨粗鬆症の発症には多数の遺伝子が関与し、かつ環境要因とも相互に作用しあって、総合的に発症感受性を決定していると考えられる。したがって、骨粗鬆症に対する新しい治療法として遺伝子治療を適用する場合、多くの研究者のコンセンサスが得られた標的遺伝子は未だに存在せず、試行錯誤の段階といえる。我々は骨芽細胞の分化初期から中期にかけて特異的に強く発現し、骨芽細胞の分化、増殖、動員の3つの面から同所的骨形成を促進する分子量18kDaの塩基性蛋白質である骨芽細胞刺激因子(OSF1)に注目している。BMPなどと違い異所性の骨形成を引き起こさないことから、骨粗鬆症の遺伝子治療のモデル系として優位であると考えられる。OSF1遺伝子を間葉系幹細胞へ導入し、移植することにより、骨形成に適合した環境下に置かれた移植細胞のみが骨芽細胞特異的なオステオカルシンプロモーターによりOSF1を発現し、同所的骨形成の促進が生じる。さらに、移植細胞から分泌されるOSF1により周囲の骨芽細胞の活性化を引き起こし、より効果的な同所的な骨形成促進作用が期待される。 今回モデル実験系を確立するため、高い分化能を有した間葉系幹細胞の供給源として、ヒトOSF1を組織非特異的なCAGプロモーター、または骨芽細胞特異的なオステオカルシン(Oc)プロモーターで発現するトランスジェニック(Tg)マウスを使用し、骨芽細胞、骨髄間質細胞の骨芽細胞への分化能、骨形成能についての評価を行った。Tgマウス由来の初代培養骨芽細胞では、BMP2存在下で、骨芽細胞への分化指標であるアルカリホスファターゼ(ALP)活性が約2倍、Ca沈着量が約4倍コントロールに比べて有意に増加することが確認された。また、骨髄間葉系幹細胞においてもBMP2存在下の培養でALP活性の増加、Caの沈着量の増加が見られOSF1の高発現による骨代謝の正の制御が可能であることが確認できた。
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