ペプチド中のアルギニンをシトルリンに変換する酵素であるpeptidylargininedeiminaseのアイソザイムの一つのPADI4は骨髄や関節滑膜に発現し、関節リウマチ(RA)では特異的に関節内の分解産物のシトルリン化を亢進させている可能性が示唆されている。 そこで、本研究では、シトルリン化したII型コラーゲン分解産物が本症の自己抗原である可能性を検討することにより、RAにおける自己免疫応答の発生機序の解明と、血清中のシトルリン化II型コラーゲン分解産物の測定が新たな早期診断ならびに骨・軟骨破壊の進行予測のための診断法となる可能性を検討する。 ヒトII型コラーゲン(Chemicon)を1.0mg/mlの濃度で0.5M酢酸に溶解し、十分にvortex後、この溶液の50μlを1.0mlの反応溶液(0.1M Tris-HCl pH7.6 containing 10mMCaCl_2)に加え、さらに、50μlの0.1M DDTと15μlのPADI酵素(sigma、1.24mg/ml)を加え十分に混合し、50℃にて1時間incubateして、シトルリン化し、これをコートしたELISAプレートを作製した。これまでの研究に使用してきたRA患者のストック血清と健常者の血清を対象にELISAを行った結果、RA患者血清の78.5%が陽性であった。陽性血清をシトルリン化II型コラーゲンと共にpre-incubationしたinhibition assayでは、約90%以上反応が抑制された。
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