研究概要 |
関節構成細胞のテロメア長,細胞寿命関連遺伝子と臨床的背景ならびに組織像との関連 骨・関節などの運動器は、加齢に伴い様々な老化表現型をとり、変性疾患や日常生活動作障害の原因となる。臓器・組織の加齢に伴う老化現象は、その多様な現れから、寿命・老化に導く共通の必須因子が何かは未だ不明である。本年度は、運動器の老化変性、特に関節老化の発生機序を構成細胞、特に軟骨細胞の細胞老化の発生機序と関節変性老化との関連を検討し、下記の知見を得た。 インフォームドコンセントを得て患者由来の軟骨細胞のテロメア長,テロメラーゼ活性及び各種の細胞寿命関連遺伝子発現度と疾患活動性や軟骨変性度(組織学的所見)などの臨床的背景との関連を分析し、軟骨細胞の分裂寿命・細胞老化が関節老化の病態形成に密接に関連することを明らかにした。さらに、軟骨細胞老化が、軟骨変性を誘導する因子として公知である炎症性サイトカインや酸化ストレスによって惹起されることをはじめて確認した。さらに、各細胞寿命関連因子の相互関連、特にモータリン1,2の発現とテロメラーゼを構成する3遺伝子(hTR, hTERT, TP1)ならびにテロメラーゼ活性の相互関連について着目し、軟骨細胞を用いて、細胞老化の過程での動態を観察した。これらの知見の一部は学会ならびに学術論文として報告した。
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