研究概要 |
最近,筋線維の増殖・発生を制御しているサイトカインとして,ミオスタチン(myostatin)が発見された.ミオスタチンは筋細胞から分泌され,筋芽細胞の分化・増殖をブロックすることによって筋線維の増加・肥大を抑制している. それゆえに,ミオスタチンの発現を人為的に抑制することができれば,筋肉の再生,肥大・増加をもたらし,寝たきり老人のリハビリテーションを助け,運動機能回復に貢献できると期待できる.本研究では,この分子標的治療を,実験動物筋肉内にミオスタチンsiRNAを導入する系により検証した.本年度は,以下の検討を行なった. (1)ミオスタチンmRNAの3次元構造を予測し,siRNAの標的として構造上ふさわしい候補配列を選び出す.それぞれに特異的なsiRNAをデザインし,合成した。(小久保). (2)これらsiRNAを,培養筋芽細胞株にin vitro電気穿孔法にて導入し,内在性ミオスタチンの発現量をmRNAレベル(RNaseプロテクションアッセイ,定量的リアルタイムPCR法),および蛋白レベル(ウェスタン解析,ELISA法)にて解析する(小久保).もっとも強力かつ特異的に抑制するsiRNAの配列を決定した(岸田). (3)上記ミオスタチンsiRNAをウサギ(日本白色家兎)の腓腹筋,および前頚骨筋内にin vivo電気穿孔法を用いて導入する(設備備品で申請した電気穿孔装置を用いる)(岸).経時的に筋組織を採取し,ミオスタチンの発現量をmRNAレベル(RNaseプロテクションアッセイ,定量的リアルタイムPCR法),および蛋白レベル(ウェスタン解析,ELISA法)で解析する.また導入の条件,ドーズ,特異性について検討する(小久保、岸田). 次年度は,in vivoにおけるsiRNA導入の効果について,筋傷害モデルマウス,老化促進マスウを用いてsiRNA導入の効果について検証していく.
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