研究課題/領域番号 |
16591520
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研究機関 | 大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
吉岡 潔子 大阪府立成人病センター, 研究所, 主任研究員 (40342993)
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研究分担者 |
伊藤 和幸 大阪府立成人病センター, 研究所, 部長 (20301806)
吉川 秀樹 大阪大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60191558)
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キーワード | SSX / invasion / osteosarcoma / breast cancer / tumor formation / NASBA / tight junction / LC-MS / MS |
研究概要 |
滑膜肉腫に特異的な融合遺伝子SYT-SSXのfusion partnerとして単離されたSSX遺伝子は、精巣精粗細胞と多種の臨床腫瘍例で発現が報告されており、Cancer testis antigenと考えられる。我々は、Nucleic Acid Sequence-Based Amplification (NASBA)定量系を用いてstageの進んだ骨軟部腫瘍症例でSSXの高発現が認められることを報告した。次に、SSXのがんの進展における生物学的機能を明らかにするために、SSX1、SSX2遺伝子のcDNA全長にFLAG tagを付加した発現ベクターを作製し、ヒト骨肉腫細胞株Saos-2、乳がん細胞株MCF-7に導入、stable transfectantsを作製した。SSX導入株では、SSXは核に局在し、親株と比較して増殖に差を認めなかった。Scratch wound assayにおける運動能やTranswell chamberにおける運動能(親株の3〜4倍)、Matrigel chamberにおける浸潤能(親株の3〜5倍)の亢進を認めた。形態的には細胞間接着が減弱し、tight junction構成蛋白質(claudin-7、ZO-1)の局在変化、細胞辺縁のアクチン細胞骨格の動的変化による葉状突起の形成やrufflingが認められた。これらのtransfectantsをヌードマウスに移植すると悪性腫瘍を形成した(Mockでは腫瘍形成を認めなかった)。SSXは既知のDNA結合配列を有さず、DNA結合蛋白を介して転写を調節すると考えられている。そこで、Saos-2にFLAG-SSXを強制発現させた安定株よりlysateを作製、FLAG抗体で免疫沈降して、SSX結合蛋白をLC-MS/MSで検索し、Histone2、3、4など数種の蛋白質を同定しており、機能を解析中である。
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