研究概要 |
GM-CSFの全長cDNAをクローニングした。ヒトカルポニン遺伝子のプロモーター(+73〜-260bp)を、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)ウイルスの複製開始に必須な転写因子をコードするICP4遺伝子の上流に挿入し、さらにその上流に標識遺伝子lacZを、その下流にInternal Ribosomal Entry Site(IRES)と健常人の白血球よりクローニングしたヒトGM-CSF cDNAを連結した相同組換えベクターpKX2・G3-CALP-ICP4-GM-CSFを構築した。このDNA断片をICP4欠失HSV変異体d120のRibonucleotide reductase(RR,ICP6)-locusに相同組み換え法を用いて挿入し、SK-LMS-1平滑筋肉腫細胞でlacZの発現を指標にしてスクリーニングし、続いてICP4をトランスフェクションしたVero細胞(VeroE5)を用いて3回スクリーニングを繰り返し、3クローンの単一の相同組換え体を得た。 無血清培地VP-SFM(Invitrogen)とVeroE5を用いて、まずd12.CALPΔRRウイルスを用いて増殖を1%CS/DMEM培地と比較した。感染後24時間までは、無血清、血清培地ともに同程度の増殖を示した。培養液にすべて無血清培地を用いても、d12.CALPΔRRの精製は可能であり、〜10^9PFUにまで濃縮可能であった。無血清培地を用いて精製したd12.CALPΔRRは、平滑筋肉腫に対する細胞傷害活性、GCV感受性など、血清存在下で精製したロットと変わりはなかった。 化学発癌繊維肉腫細胞株MethAを同系のC57BL/6マウスに移植し、この肉腫に対し細胞傷害作用をもつd120変異体ウイルスを感染させ、腫瘍消褪後26-97日でMethAを再度移植し、活性化Tリンパ球の誘導と腫瘍の拒絶を確認した。
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