研究概要 |
(1)上気道の神経学的因子に関する研究 平成15年度科学研究費の課題の一つである「小児におけるセボフルレン麻酔下での蒸留水喉頭投与によってひきおこされる気道防御反射」から得られたデータの再解析をおこなった.セボフルレンの吸入濃度を深くすることによってactive reflex(咳,呼気反射,嚥下反射)は強く抑制されたものの,passive reflex(喉頭痙攣,喉頭閉鎖,無呼吸)はあまり影響をうけない,という結論は修正の必要がなかったが,年齢による影響に関しては結論は引き出せなかった.成果は現在,投稿中である. (2)上気道の解剖学的因子に関する研究 i)頭位および開口が上気道の開存性に与える影響 上気道開存性は頭位(頸部の伸展・屈曲)や開口によって影響を受けるか否かを,睡眠呼吸障害の患者を対象に検討した.全身麻酔下にベクロニウムを用いて完全筋弛緩を得たのち,頸部中間位での開口,頸部屈曲位,頸部伸展位,がそれぞれ頸部中間位(非開口)と比較,上気道の開存性にどのような影響を与えるかを検討した.気道開存性は内視鏡で咽頭を観察することで行った.頸部伸展は上気道の開存性をあげたが,頸部の屈曲・開口はともに開存性が減少した.これらの成果はJ.Appl.Physiolに発表した. ii)頭位が喉頭展開における視野に与える影響 臨床的な経験から,喉頭鏡による喉頭展開に適した頭位として,高い枕を使用すること,sniffing position(上位頸椎の伸展と下位頸椎の屈曲),単純な頸部伸展などが知られている.今回の研究では枕の高さとsniffing positionまたは単純頸部伸展との相互作用について検討した.症例数が少ないため,結論に至らないが,sniffing positionでは枕が高い方が喉頭展開の視野を改善するが,単純頸部伸展ではこの効果は認められなかった.
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