研究概要 |
障害による神経細胞の機能変化を見るために、顔面神経切断モデルを用いて解析した。顔面神経の軸索を切断後、顔面神経の神経細胞の機能変化を顔面神経核を含む脳スライス標本を作製し、興奮性および抑制性シナプス電流、細胞内Ca変化をCa蛍光色素であるFuraIIを神経細胞に負荷し観察した。神経軸索切断後、細胞体での興奮性のシナプス電流の頻度が増加し、また、抑制性伝達物質であるGABAによって細胞内のCa上昇が見られるようになった。すなわち、細胞内のCl濃度が変化してGABAの働きが幼若期における尊敬組織同様、興奮性に働くことが示され、神経障害による神経の異常興奮もしくは、易興奮性にGABA効果の逆転現象も関与していることが示唆され、報告した(Brain Res Mol Brain Res 133:12-18,2005)。また、中枢神経細胞の特定のエンハンサーやプロモーター下流にEGFP等の蛍光物質配列を挿入することによって特定の神経細胞を可視化することに成功し、報告した(Endocrinology 146:406-413,2005)。一方、異常疼痛伝達には、シナプスの可塑性により異常な神経回路を形成することが、組織学的に示唆されているので、この方法を利用して、神経障害によっておこる異常神経回路形成、および再生神経を可視化し、その生理機能を直接観察することが可能と考え、その動物作成を実行中である。
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