研究概要 |
1.ラビットの神経原性肺水腫モデルの確立をめざして、肺水腫発生率が100%近くとなる条件設定を探る実験:第4脳室にフィブリンとトロンビンを投与しても、ラットのように神経原性肺水腫を高率に作成することができず、ラビットでの脳室内フィブリン・トロンビン投与による神経原性肺水腫モデルの作成は困難であった。 2.ラビットの部分肺還流標本の確立実験:そもそも1の実験で、神経原性肺水腫モデルが確立できなければ、この部分肺還流標本を確立しても神経原性肺水腫発生機序に迫ることができないので、この実験は中止した。 3.血管内皮細胞の単層培養:ヒト肺血管内皮細胞の培養に成功した。その他冠動脈内皮細胞、大動脈内皮細胞の培養にも成功した。 4.血管内皮単層培養での透過性変化の測定:ヒト肺血管内皮細胞単層培養の上下で蛍光標識した蛋白の移行を蛍光プレートリーダーにて読み取り、透過性変化の指標とする手技を確立できた。透過性に変化を与える条件として様々な薬物をスクリーニングした所、吸入麻酔薬であるイソフルレンに肺血管内皮細胞の透過性を亢進させる作用があり、セボフルレン、プロポフォールにはそのような作用が無いことが明らかとなった。イソフルレンによる透過性亢進がH-9(PKG阻害薬)、DY9760e(calmodulin阻害薬),ML-7(MLCK阻害薬)により抑制されることが明らかとなった。以上から、イソフルレンの透過性亢進は、Ca2+-PKGの関与した、cGMP系による細胞骨格変化およびMLCKの関与したMyosin contractionのメカニズムが透過性亢進に関与していると推察された。
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