研究課題/領域番号 |
16591533
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
相見 良成 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助手 (20231756)
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研究分担者 |
安原 治 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教授 (80239772)
松尾 明典 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助手 (20324585)
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キーワード | pChAT / cholinergic neuron / nociception / dorsal root ganglion |
研究概要 |
本研究の目的は、最も古典的な神経伝達物質であるアセチルコリンの知覚神経系への関わりを、末梢の神経組織に優勢に発現する末梢型コリンアセチル基転移酵素(pChAT)の免疫組織化学法を用いて検討することである。これまでの検討で、一次知覚神経節である脊髄後根神経節(DRG)のpChAT陽性神経が主に小型であり、特定の脊髄レベルに偏ることなくすべての脊髄レベルで広く認められ、各DRGの神経細胞の約50%がpChAT陽性であることを示してきた。本年度は、これらの陽性神経細胞からの神経線維の投射路を中心に検討した。中枢側ではpChAT陽性神経線維は脊髄後角、後索に認められ、後根の除神経実験からは、DRGからの陽性神経線維は後角への投射に加え、後索を経由して後索核へ投射しているものと考えられた。末梢側では、代表的な体性臓器、内臓性臓器として、それぞれ皮膚、消化管のpChAT染色を試みた。消化管で豊富な神経細胞・線維が認められることは既に報告済みであるが、皮膚でも少なくとも自由神経終末とマイスナー小体様の構造がpChAT陽性であった。逆行性トレーサーであるコレラトキシンB (CTb)を皮膚、消化管に投与したラットのDRGでCTb陽性pChAT神経が見られることから、pChAT陽性DRG神経は体性・臓器性の両方の臓器に投射すると考えられた。DRGに見られる神経伝達物質であるSP、CGRP、NOとpChATとの共存の検討からは、これら伝達物質とpChATがある一定の頻度で共存することが明らかとなった。侵害刺激の受容体であるVR1との免疫多重染色では、DRGではほぼすべてのVR1陽性神経がpChAT陽性であり、さらにいくつかのVR1陰性のpChAT神経も見られることが明らかになった。現在、アセチルコリン受容体とpChAT陽性神経の関連の検討を進めている。
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