患者の自発呼吸努力により同調したモードであるプレッシャーサポート換気が現在、人工呼吸法として主流である。プレッシャーサポート換気では患者の呼吸努力と人工換気を一致させるため、逆に呼吸筋に対する人工呼吸の影響が大きくなる可能性が高い。われわれは患者の自発呼吸努力に同調した陽圧換気法である持続陽圧換気(CPAP)+プレッシャーサポート換気(PSV)モードにおいて従圧式換気のプレシャーサポート値を上下させ、エンドトキシンによる横隔膜筋力低下へのどのように影響するかについて検討した。鎮静薬投与、局所麻酔施行下にラットに気管切開を施した後、エンドトキシン10mg/kgを投与し、30分後に以下の4つの条件で人工呼吸を開始して300分後に横隔膜筋力を測定した。 (1)CPAP+PSVモードプレッシャーサポート圧0cmH_2O (2)CPAP+PSVモードプレッシャーサポート圧5cmH_2O (3)CPAP+PSVモードプレッシャーサポート圧10cmH_2O(気道内圧上昇速度小) (4)CPAP+PSVモードプレッシャーサポート圧10cmH_2O(気道内圧上昇速度大) (5)Control群ではエンドトキシンの代わりに同量の生理食塩水を投与し、300分後に同様に横隔膜筋力を測定した。 横隔膜の筋力の評価についてはin vitroのチャンバー法を用いた。 補助換気の程度を評価するため、食道内圧を測定し、食道内圧の低下の程度で換気補助の程度を評価した。 結果は横隔膜筋力の低下はプレッシャーサポート5cmH_2Oが最も小さく、プレッシャーサポート0と10cmH_2Oでは横隔膜筋力の低下はより大きかった。食道内圧の低下の程度はプレッシャーサポート圧0よりも5で小さく、10では食道内圧はむしろ陽圧であった。 エンドトキシンによる横隔膜筋力の低下に対して適切なレベルのプレッシャーサポート換気を行えばその進行を遅らせられる可能性がある。
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