研究概要 |
原発性手掌・腋窩多汗症に対する良質な手術適応基準を作成する研究として,平成16年度は両側の交感神経を第2・第3胸椎(肋骨)レベルで電気焼灼する胸腔鏡下交感神経遮断術を行った. また,その術前と術後にQOLを調査する目的で,36項目からなる健康関連尺度であるSF-36を測定した(手術20例,うちSF-36は10例).SF-36は30例を目標として集計し,一般人との差異,ならびに,手術前後での差異を比較検討する予定である(平成17年度). 胸腔鏡下交感神経遮断術における術中のモニタリングとして,平成16年度は,交感神経皮膚反応とレーザードプラ法による指尖血流測定を行いあわせて行い,遮断や遮断中止の基準として活用した.術中の交感神経皮膚反応は,われわれが開発したもので,交感神経幹を電気刺激し,手掌や顔面で電位を測定するモニタであるが,交感神経幹の位置確認と電位消失による遮断の確認に用いた.レーザードプラ血流計では,遮断後の血流増加を確認した.それらを活用し,全例,良好な発汗停止が得られた. 平成17年度は,多汗症の症状誘発因子・緩解因子を測定する目的で,事象関連電位を測定する予定である.画像呈示,または音声呈示などの刺激により,実際の発汗量や事象関連電位がどのように変化するかを検討することを予定している. これらを総合して,胸腔鏡下交感神経遮断術が患者のQOLをどの程度改善しているかを調査するとともに,事象関連電位の術前検査・術後検査や手術適応基準の決定における有用性を報告する予定である.
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