研究概要 |
平成17年度は多汗症に対する胸腔鏡下交感神経遮断術の手術前後におけるSF-36の測定を行い,患者のQOLを調査した.SF-36の調査対象は山口大学医学部附属病院麻酔科蘇生科・ペインクリニックを受診した多汗症患者のうち,ETSを行った20例とした.対象の内訳は男性9名,女性11名,年齢は13歳〜33歳であった.全例,対象とした手掌の発汗停止が得られ,重篤な合併症は認められなかった.術後の代償性発汗は軽度〜中等度認められたが,全例自制内であった.多汗症患者の術前のSF-36の所見では,仕事や日常生活が軽度制限されていることや,それらがやや集中して行えないということ,また精神的には,神経質で抑うつ的な傾向がみられた.手術前後の変化は,問題点として手術による疼痛とそれによる仕事や日常生活の制限が認められたが,改善点として術前まで出来なかった内容ができた,集中して出来るようになった,人付き合いが改善した,などが認められた.疼痛の問題は調査期間が短いことが関与している可能性があるため,今後の症例では,より長期的な調査を行うほうが望ましいと考えられた.
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