研究概要 |
研究1.CTを利用したPCC法の開発 CTを利用した方法では、金属針によるハレーションによる画像の乱れが問題になる。そのためにガイド針はハブの部分がプラスチック製の金属部分が少ない20G9cm脊麻針(八光商事特注)を使用した。痛みの反対側の乳様突起の尾側の側頚部にCTの位置決め用のメルクマールをつけ、CTスキャンを行いガイド針の刺入部位および方向、深さを決める。ガイド針がくも膜下腔に達したならば、イオトロラン(イソビスト240)5mlをくも膜下腔に注入し、CT画面に脊髄がはっきりと描出できるようにする。ガイド針が脊髄前側索に向く様に調節し、電極針を脊髄に挿入する。これ以降の操作は従来の透視法と同じである。 研究2.CTを利用したPCC法の有用性の検討 CT法によるPCCを3名の患者に延べ5回施行した。いずれも良好な鎮痛効果が得られ、また運動および呼吸障害は認められなかった。両側PCCを施行した1名では剖検を行い脊髄のPCCによる組織変化を調べたが、CT画面上で推定していた部位に一致して脊髄の前側索に電極針の形状を大きくした凝固巣が確認された。またCT法で、第1-第2頸椎間での脊髄は形状、大きさにかなりの個人差があり、また仰臥位では脊柱管の中央に位置しているのではなく、少し尾側に位置し、首の回旋で脊髄と脊椎管との相対的な位置が変わり、脊髄へ刺入された電極針で脊髄が押されて位置が変わることが判った。以上このことよりCT法では脊髄との関係が明瞭にわかるので、成功率が上がり、合併症を少なくすることができることが明らかになった。 学会発表 この研究成果の一部は世界疼痛学会(11 th World Congress on Pain, Sydney, Australia, August 21-26,2005)および日本麻酔科学学会第52回学術集会(2005年6月2日-4日、神戸)で発表した。
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