研究課題/領域番号 |
16591555
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
林 和子 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (40285276)
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研究分担者 |
村井 俊哉 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30335286)
加藤 綾子 東京電機大学, 理工学部, 助手 (30318159)
福井 康裕 東京電機大学, 理工学部, 教授 (60112877)
田中 義文 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (50079935)
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キーワード | 瞳孔ゆらぎ / 自律神経活動 / 覚醒度 / 交感神経活動 / 脳波解析 / 上位中枢 / 疼痛 / 瞳孔調節 |
研究概要 |
本年度は、種類の異なる麻酔とその覚醒過程を研究対象とした。麻酔覚醒過程の瞳孔変動は、GABA作動薬である静脈麻酔薬(プロポフォール)や揮発性麻酔薬(セボフルラン)による差異は明らかでなかったが、NMDA拮抗薬であるケタミンからの覚醒過程における瞳孔パラメータ計測においては、眼球運動そのものに不安定性が認められた。意識状態は、脳の活性化レベル(活動レベル)の他に、情報源、即ち入力-出力のゲーティング(処理される外的情報と内的情報の相対的なバランス)や神経修飾作用(コリン作動性神経修飾に対するアミン作動性神経修飾の割合,記憶の容量を決定)の神経プロセスにも左右される。このうち、入出力ゲーテイングの因子は、臨牀的にPGO(橋-膝状体-後頭葉)波の代用としての眼球運動から捉えることができるので、この結果は、NMDA拮抗薬が、入出力ゲーテイングに影響を及ぼす可能性があるものとして興味深いと考える。 更に、並行して行った脳波の周波数解析において、ケタミンは、GABA作動薬による睡眠紡錘波のα領域のピークを約4Hz、上昇させることがわかった。この時の、位相カップリングの状態を、位相解析から調べたところ、bicoherence値も同様に3-4Hz、高周波数側へ変異する現象が明らかとなった。この結果は、ケタミンが意識の支持系統としての視床網様系に作用することを示唆するものである。 これらの結果から、瞳孔及び眼球運動の計測が、脳波から得られる情報と併せて統合的に覚醒意識を検討するのに重要であることが結論できた。
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