平成17年度 今年度は、カバーグラス上に定着させたウシ大動脈由来培養血管平滑筋細胞を用いて実験を行った。Fura-2でインキュベートした後、密閉性の高いclosed chamberに装着し、Ca^<2+>freeのHEPES-bufferにて潅流し、Thapsigargin10^<-7>Mを投与して小胞体内Ca^<2+>を枯渇させ、その後、潅流液中のThapsigarginをwashoutした後、潅流液中のCa^<2+>濃度を2.2mMに上昇させることにより容量性Ca^<2+>流入を引き起こした。Ca^<2+>freeのHEPES-bufferとCa^<2+>2.2mMのHEPES-bufferを交互に還流させることにより、再現性のある容量性Ca^<2+>流入が得た。この時の細胞質Ca2+濃度の変化を蛍光色素法にて測定した。ハロタン、イソフルランあるいはセボフルラン(1〜3MAC)に暴露させた血管平滑筋細胞で同じ測定を行ったところ、ハロタン>イソフルラン>セボフルランの順で、それぞれ濃度依存性に容量性Ca^<2+>流入を抑制した。 次に、容量性Ca^<2+>流入の調節に関与していると考えられているProtein kinase Cの阻害薬であるBIS-1 3x10-6 Mをあらかじめ投与した後、同じ実験、測定を行った結果、BIS前処置によりハロタンによる容量性Ca^<2+>流入の抑制が拮抗された。 以上の結果より、内皮細胞同様に、血管平滑筋細胞においても、揮発性麻酔薬は濃度依存性に容量性Ca^<2+>流入を抑制し、その抑制作用にはProtein kinase Cに対する作用の関与が示唆された。
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