研究概要 |
モルフィノンによるヒト口腔扁平上皮癌(HSC-2 Cell, HSC-3 Cell, HSC-4 Cell, NA, Ca9-22)とヒト前骨髄性白血病細胞(HL-60)の細胞傷害効果について検討する。細胞培養はMTT法で測定する。 1)モルフィノンでhormesis(低濃度で増殖促進、高濃度で増殖抑制)が起こるか否かについて検討する。 結果:モルフィノンはhormesisを起こさない。HSC-2 Cell(CC_<50>=44μM), HSC-3 Cell(CC_<50>=52μM), HSC-4 Cell(CC_<50>=38μM), NA(CC_<50>=47μM), Ca9-22(CC_<50>=24μM)、HL-60(CC_<50>=25μM)。この値は、正常細胞と比べて細胞傷害性が高いことがわかった。 2)モルフィノンによるHL-60 Cellにおけるアポトーシスおよび非アポトーシスの誘導について検討する。アポトーシス誘導はDNAの断片化(アガロースゲル電気泳動により検出)、Caspase3,8,9の活性化(基質の切断活性により測定)を指標として判定する。 結果 HL-60;モルフィノン単独効果Caspase3活性はHSC-2 Cellと同じように投与量依存性に賦活化した。しかし、actinomycin Dほどでなかった。Caspase8,9活性はない。これは、DNA断片化が起こらなかったのと一致する。 3)電子顕微鏡ではモルフィノンによるHL-60 Cellにおいてミトコンドリアのshrinkage, autophagosomeが生じた。Apoptotic bodyを生じなかった。モルフィノン投与によってHL-60 Cellではアポトーシスよりもむしろ第2のプログラミングされた細胞死を生じることがわかった。また、Autophagy inhibitorを投与するとモルフィノンの細胞傷害効果が若干減弱した。
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