静脈麻酔薬として知られるミダゾラム、チアミラール、プロポフォールを用いてヒト正常口腔組織由来細胞(歯肉線維芽細胞、歯髄細胞、歯根膜線維芽細胞)、ヒト口腔扁平上皮癌(HSC-2 Cell、HSC-3 Cell、HSC-4 Cell、NA、Ca9-22)、Glioblastoma cell(T98G、U87MG)の細胞傷害効果について検討した。細胞培養はMTT法で測定した。 1)ミダゾラムの細胞傷害活准を調べた。HSC-2 Cell(CC_<50>=119μM)、HSC-3 Cell(CC_<50>=232μM)、HSC-4 Cell(CC_<50>=148μM)、NA(CC_<50>=91.2μM)、Ca9-22(CC_<50>=86μM)、T98G(CC_<50>=175μM)、U87MG(CC_<50>=176μM)。この値は、正常細胞と比べて細胞傷害性が高いことがわかった。HL-60(CC_<50>=40μM)であったが、この細胞傷害性ではDNAの断片化が観察された。現在、この細胞傷害性がネクローシス、アポトーシス、オートファジーのうちどの機序によるものか検討中である。 2)チアミラールの細胞傷害活性を調べた。HSC-2 Cell(CC_<50>=412μM)、HSC-3 Cell(CC_<50>=400μM)、HSC-4 Cell(CC_<50>=333μM)、NA(CC_<50>=316μM)、Ca9-22(CC_<50>=223μM)、T98G(CC_<50>=513μM)、U87MG(CC_<50>=606μM)。この値は、正常細胞と比べて悪性腫瘍の細胞傷害性の特異性はミダゾラムとプロポフォールの中間に位置することがわかった。 3)プロポフォールの細胞傷害活性を調べた。HSC-2 Cell(CC_<50>=269μM)、HSC-3 Cell(CC_<50>=406μM)、HSC-4 Cell(CC_<50>=264μM)、NA(CC_<50>=308μM)、Ca9-22(CC_<50>=195μM)、T98G(CC_<50>=384μM)、U87MG(CC_<50>=364μM)。この値は、プロポフォールが腫瘍特異性の低いことから正常細胞とほぼ同程度の細胞傷害性があることがわかった。
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