研究概要 |
1)局所脳虚血後再灌流:急性モデルと慢性モデルでの検討: 閉鎖型脳窓よりレーザー血流計で脳血流を測定した。局所脳虚血再灌流は左中大脳動脈を閉塞、閉塞後2時間経過後、再還流を行った。72〜96時間後ラットを断頭し、脳組織を凍結後TTCの生食溶液の中でインキュベートし染色を行い、梗塞部位を撮影した。画像から梗塞領域の体積を計算し、その後HE染色を重ねて行い、神経細胞の変化を確認した。脳血管内交感神経α2B受容体刺激作用を持つとされる高濃度(1μg/kg,10μg/kg)デクスメデトミジンの投与によって脳梗塞の発症や梗塞領域の拡大が生じた。急性ラットモデルと慢性ラットモデルとの比較では梗塞領域の差が顕著であった。 2)くも膜下出血:脳血管スパズムモデル: くも膜下出血後急性脳血管スパズムモデルを作成し2日後に血流・血管径を測定し減少を確認した。高濃度デクスメデトミジン投与ラットは生存率が悪く、脳梗塞領域の拡大作用の評価は不可能であった。 3)薬理学的アプローチ: α2B受容体拮抗作用を持つyohimbineを静脈内前投与したところ、高濃度デクスメデトミジンの投与によって引き起こされた脳梗塞領域は減少した。特異的脳血管内交感神経α2B受容体活性の抑制をみるために、yohimbineを脳室内に前投与し,局所脳虚血後再灌流を行ったところ梗塞領域が減少した。また、α2C受容体活性化が強いとされるRauwolscineを投与したところ、脳梗塞領域への影響は少なかった。
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