研究課題
本研究は、全身麻酔下にて3時間以上の腹部および整形外科大手術をうける60歳以上の患者を対象とし、グルタミン酸NMDA受容体拮抗作用が強い2種類の麻酔薬であるケタミンとキセノンが、術後認知機能低下を改善するという仮説を検証するための研究である。本年度は平成16年度から3年計画で行われる研究の2年目にあたる。交付された研究費は予定通り、キセノンガスモニターの測定部の定期交換、およびキセノン麻酔器の定期点検にほとんどを費やした。これらの費用を、補助金交付申請書では物品費として計上したが、収支決算報告書ではその他の費用に分類されている。また、以前の科学研究費補助金で購入し、これまでデータ採集および処理に用いてきたコンピュータが故障したので、本年度の補助金でそれらの更新を行った。本年度の最初に、我々の属する麻酔科の指導医の半分が退職するという不測の事態があった。そのため対象患者のリクルートは当初の予定よりかなり遅れている。比較研究は盲検法でおこなうため、中間結果がどのようになっているかは現時点では不明である。麻酔薬そのものによるトラブルは現時点までではないので、今後とも、予定通り研究を続行する所存である。