• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

慢性疼痛発症の中枢内メカニズムに対する鎮痛薬の影響

研究課題

研究課題/領域番号 16591565
研究機関東京医科大学

研究代表者

北村 泰子  東京医科大学, 医学部, 講師 (20096978)

研究分担者 山田 仁三  東京医科大学, 医学部, 教授 (60009644)
キーワード慢性疼痛 / 幻肢痛 / C-Fos細胞 / ラット / 腰髄 / 中脳水道周囲灰白質 / 帯状回 / 鎮痛薬
研究概要

慢性疼痛のモデルとして,全身麻酔および局所麻酔をしたラットの左側大腿部を切開して坐骨神経を結紮・切断して持続的侵害刺激を与えた.その結果,腰髄,中脳水道周囲灰白質と帯状回のC-Fos細胞はいずれの領域においても,各生存期間によってC-Fos細胞数の増減があることがこれまでの実験で明らかになった.
神経切断によって各領域に生ずるC-Fos細胞数が種々の鎮痛剤(SSRI,芍薬甘草湯,サリドマイド)に対してどのような影響を受けるかを実験した.神経切断後に薬物入り資料を与えた例と切断だけの例に生じるC-Fos細胞数を比較するため,腰髄,中脳水道周囲灰白質中間の高さ(PAG)帯状回の吻側部と尾側部に出現したC-Fos細胞を描画装置を用いて描いて細胞を数えた.
(1)モルヒネ投与例:第5腰髄の各層に出現して減少した.PAG背側部では変化がなく,外側部と腹側部で減少した.帯状回吻側部のII層とIII層では減少したが,IV層では増加し,尾側部のII層では増加したが,III層とIV層は減少した.
(2)SSRI投与例:第5腰髄の各層に出現し,層により差はあるが減少した.PAGでは増加した.帯状回吻側部のII層とIII層では減少したが,IV層では増加し,尾側部では変化がなかった.
(3)芍薬甘草湯投与例:第5腰髄は層により増減があり,PAGで増加した.帯状回吻側部のII層とIII層では減少したが,IV層では増加し,尾側部では変化がなかった.
(4)サリドマイド投与例:第5腰髄のどの層も減少した.PAG外側部で減少し,背側部と腹側部では数に変化がなかった.帯状回吻側部のII層とIV層では増加したが,III層では変化なく,尾側部で減少した.
これらの結果より,上配薬物は腰髄での痛み反応を抑制した.PAGはモルヒネにより,下行性痛覚抑制系を抑えて,SSRIと芍薬甘草湯は,下行性痛覚抑制系を活性化した.なお,モルヒネとサリドマイドは帯状回尾側部は,慢性痛によって起こる忌まわしい体験を減弱させると考える.

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi