実験1:衝撃波により惹起されるブタ腎集合管細胞の微小傷害の検討 SPFブタに対して、右腎中〜下腎杯に、通常治療レベルの衝撃波を照射した。衝撃波曝露後の腎は、肉眼的には衝撃波が作用した部位の腎実質から腎孟方向にわずかな出血巣が認められたが、光顕的には健常側に比し、腎乳頭部にはほとんど変化は認められなかった。Flow cytometryによる細胞解析結果では、phosphatidylserine(PS)陽性細胞は、衝撃波に直接曝露された右中腎杯および下腎杯での出現率が高く、衝撃波が作用していない腎に比し、有意に増加していた。また、衝撃波が間接的に関与したと考えられる右上腎杯においてもPS陽性細胞は増加していた。同様にcaspase 3活性についても、衝撃波を作用させた右中腎杯および下腎杯で有意に増加しており、衝撃波が間接的に関与した右上腎杯でも約20%増加していた。 実験2:ブタにおける蓚酸カルシウム結石形成モデルの確立 SPFブタに対して、通常食に2.5%Hydroxyprolineを含有させた特殊食(1日750g-1000g)を6週間投与した。尿中蓚酸はHydroxyproline投与直後に急上昇し、2〜3週後に一時、正常値付近まで下降、その後、再び上昇に転じ、6週後にはHydroxyproline投与前の約2.5倍の値を示した。また尿中蓚酸の増加に伴い、尿中に蓚酸カルシウム1水和物や2水和物の結晶が出現した。腎の組織学的検討では、75%の腎に、腎乳頭部、集合管内に結晶形成が認められ、Von Kossa染色陰性、Pizzolato染色陽性により、蓚酸カルシウム結晶と考えられた。2腎において、下腎杯内に肉眼的に観察される3mm大の蓚酸カルシウム結石が形成された。本実験において、ブタの健康状態はきわめて良好であり、肝・腎機能障害などの合併症は認めなかった。
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