研究概要 |
従来の癌根治術に伴う神経温存では、手術時の神経温存が術後の機能回復と必ずしも結びつかないことが報告されている。この研究は、神経の温存の有無を"神経電気刺激のよる陰茎海綿体内圧の上昇あるいは膀胱内圧上昇"という客観的変化に基づいて判断することを特徴としている。 平成17年度は、平成16年度に厚生労働省の認可を得た安価で簡便な刺激装置(FKSS社)を用いて、専ら研究が行われた。この装置の特徴は刺激条件のいくつが固定されているため、簡便でかつ安価であることである。固定条件とは以下のごとくである。刺激頻度:10Hzであり、イヌモデルでの刺激実験でこの条件がもっとも効率よい刺激を行えるため、この条件に固定した。刺激幅0.2mSecであり、この刺激幅が動物実験から得られた、最も神経疲労の少ない条件であったためこれに固定した。刺激電流は、5,10,20,30mAと4段階としている。これで、最大限に近い刺激が可能で、それ以下で刺激できれば神経疲労を起こすことなくさらに効率的な刺激が繰り返し行える。 現在までに、この装置で婦人科症例8例に刺激を行ったが、刺激そのもので不都合はない。今後、この装置による更なる症例の蓄積が必要である。 本研究に関連する事項に関しては、生命倫理・安全対策等に関する手続きは群馬大学倫理審査委員会で承認済みであり、医学的な所見以外の個人識別情報を削除し、個人情報を連結不可能な匿名化を行ったのち、すべての医学的・統計学的な解析を行なった。
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