研究概要 |
【はじめに】腎細胞癌患者におけるインターフェロン(以下IFN)Type Iレセプターの発現を、末梢血、腎腫瘍部、腎非腫瘍部にてRT-PCRを用いて測定した。IFN type IレセプターはR1とR2のヘテロダイマーで構成されるため、おのおのについて測定をおこなった。【対象・方法】対象は当科で腎摘除術を受けた19例。内訳は男13例、女6例、年齢は65.4±14.3歳であった。腫瘍径の平均は6.2±3.3cmで、T stageはpT1a 6例、pT1b 6例、pT2 3例、pT3b 1例であった。4例に転移を認めた。【結果】R1レセプターの発現は非腫瘍部と末梢血で相関していたが、いずれも腫瘍部とは相関していなかった。同様にR2レセプターも非腫瘍部と末梢血で相関していたが、いずれも腫瘍部とは相関していなかった。転移症例と非転移症例で比較した場合、非腫瘍部ではR1、R2ともに発現に有意差がなかったが(それぞれp=0.4159,p=0.4788)、腫瘍部(それぞれp=0.049,p=0.0050)、末梢血(それぞれp=0.0075,p=0.04485)ともに有意な相関を認めた。【結論】進行例ではtype I IFNの発現は末梢血と腫瘍部で低下していたことから、レセプターを調べることにより、ある程度予後を推測することができる可能性が示唆された。特に末梢血での発現でも調べることができることは、治療前(手術を含め)に重要な情報となる可能性があると思われた。
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