腎細胞癌は腎臓に発生する癌で最も多いものである。現在のところ手術療法が最も有効な治療手段であるが、抗癌剤などの薬物療法はほとんど無効である。唯一、インターフェロン(以下IFN)が有効とされ、臨床で広く使用されている。IFNはType IとIIに分類されるが腎細胞癌に有効なのはType Iである。Type IのレセプターはIFNAR1とIFNRA2の二量体で形成されている。本研究では腎細胞癌組織におけるIFNAR1と2の発現につき検討した。 12例の腎細胞癌症例で、末梢血、癌部、非癌部でのリセプターの発現をRT-PCR(real time)にて検討した。更に個々の腎細胞癌の臨床病期、臨床データとの相関についても検討した。 症例を増やして検討したところ、癌部、非癌部、末梢血におけるIFNAR1とIFNAR2の発現は相関は昨年度と同様であった。IFNAR1の発現は腎の癌部と非癌部で相関が認められた一方で、IFNAR2の発現は腎の癌部と非癌部で相関が認められた。このようにIFNAR1、2の発現は癌部、非癌部、末梢血で発現が異なっていた。 各種臨床パラメータ(腫瘍の大きさ、stage、grade、AlP、CRP、Hb)とIFNAR1、2の発現に相関は認められなかった。IFNAR1および2の末梢血での発現の低い症例で再発例が多く、Logrank検定では有意差を認めた。
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