腎細胞癌には手術療法以外に有効な治療法はほとんどなく、転移を有する症例などに対してインターフェロンは広く使用されている。 しかし、インターフェロンのメカニズムについてはなお不明な点が多くある。 今回われわれは腎腫瘍20例で腫瘍部、非腫瘍部、および末梢血リンパ球のI型インターフェロンレセプターの発現をRT-PCRを用いて測定し臨床的検討を行った。 I型インターフェロンレセプターはIFNAR1および2の二量体を形成することが知られており、これらの発現を検討した。 IFNAR1および2はそれぞれ腎の腫瘍部分、非腫瘍部分でその発現に相関が認められた。IFNAR1および2は末梢血での発現にも相関が認められた。一方で、IFNAR1および2の発現と臨床の各種パラメーターとの相関は少なかった。 以上から、インターフェロンレセプターは末梢血での発現をみることで腫瘍部分での発現が予想できること、また、臨床パラメーターとの相関のなかったことから、新たな予後予測因子となりうることを示している。
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