研究課題
本研究における目的は、膀胱におけるENaCをはじめとするENaC/Degチャネルファミリーの局在を同定し、ENaCが膀胱求心路における伸展受容器(メカノセンサー)として作用していることを証明するとともに、その作用機序を明らかにすることである。このことによって、膀胱求心路における重要な情報伝達機構が解明され、過活動膀胱などの排尿障害に対する新しい治療薬の開発に繋がるものと期待される。1.ヒト膀胱上皮細胞にENaC各サブユニット(α・β・γ)蛋白およびmRNAの発現が確認された。正常膀胱での発現は弱く、閉塞膀胱ではすべてのサブユニットの発現が有意かつ顕著に増加した。閉塞膀胱(前立腺肥大症)患者のほとんどは排尿筋過活動を有しており、蓄尿症状スコアと各サブユニットmRNAの発現量は有意に相関した。(UROLOGY 64:1255-1260,2004)2.ラット膀胱上皮細胞にENaC各サブユニットの発現を認めた。正常膀胱においても十分な発現を認め、閉塞膀胱との間に発現量の有意差を認めなかった。後根神経節および膀胱粘膜直下を走行する知覚神経終末(C線維)にENaC蛋白の局在を証明した。しかし、膀胱知覚神経終末におけるENaCの発現は極めて低率であった。3.ラット膀胱内にENaC拮抗薬であるアミロライドを還流することにより、持続的液体注入によって惹起される排尿反射の間隔は延長し、膀胱容量が増大した。このことは、膀胱求心路の活動がENaCの拮抗薬によって抑制されたことを示している。4.ラット膀胱切片の伸展により惹起される膀胱上皮からのATP放出がアミロライド(ENaC拮抗薬)の還流により抑制された。これらの実験結果は、膀胱上皮に発現するENaCが伸展刺激によるATP放出メカニズムをコントロールすることにより膀胱知覚(尿意)神経伝達に関与していることを示唆している。さらに、ヒト閉塞膀胱上皮に過剰発現するENaCが閉塞膀胱における過活動膀胱発生機序に関与している可能性を示唆する。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件) 産業財産権 (1件)
Journal of Urology 175
ページ: 365-369
International Journal of Impotence Research (印刷中)
International Journal of Urology (印刷中)
Urology 66(1)
ページ: 88-93
International Journal of Urology 12(6)
ページ: 603-606
International Journal of Urology 12(11)
ページ: 994-995