研究課題/領域番号 |
16591592
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
林 辰弥 三重大学, 医学部, 講師 (00242959)
|
研究分担者 |
鎌田 春彦 国立医薬食品衛生研究所, 基盤研究第二プロジェクト, 主任研究官 (00324509)
鈴木 宏治 三重大学, 医学部, 教授 (70077808)
|
キーワード | プロテインCインヒビター / DNAメチル化 / 腎近位尿細管上皮細胞 |
研究概要 |
プロテインCインヒビター(PCI)は主として肝臓、腎臓、及び精巣、卵巣などの生殖臓器で発現されるセリンプロテアーゼインヒビターで、血漿PCIは、抗凝固セリンプロテアーゼの活性化プロテインC(APC)の阻害因子として、尿中PCIは、主として尿プラスミノゲンアクチベータの阻害因子として、精漿PCIは前立腺特異抗原や精子アクロシンなどの阻害因子として機能する。我々は、これまで、腎臓では主として近位尿細管上皮細胞(Renal proximal tubular epithelial cell : RPTEC)でPCIが発現されること、腎癌及び株化腎癌細胞(両者とも腎近位尿細管上皮細胞由来)ではPCIの発現が著しく低下すること、PCIがin vitroでの株化腎癌細胞(Caki-1細胞)のマトリゲル浸潤能を抑制すること、さらに株化腎癌細胞でのPCI発現の低下はPCI遺伝子のメチル化に起因することを見出した。そこで、本研究では、株化腎癌細胞を用いて腎癌でのPCI遺伝子のメチル化部位の同定を試みると共に、培養RPTECを用いてPCI遺伝子のメチル化の転写活性に及ぼす影響に関してルシフェラーゼをレポーター遺伝子として検討した。その結果、Hydrogen bisulfite sequence法により、PCI遺伝子の上流500bpの領域に集中して存在する13個のCpG配列のうち、転写開始点近傍の4ヵ所のCpG配列が株化腎癌細胞で特異的にメチル化されていること、及びその4ヵ所のCpG配列のメチル化により、RPTECにおけるPCI遺伝子の転写活性が著しく低下することが明らかになった。 以上の結果から、株化腎癌細胞さらには腎癌部におけるPCI遺伝子の発現低下は、PCI遺伝子の転写開始点近傍に位置する特定のCpG配列のメチル化に起因することが示された。
|