研究課題
平成18年度における研究成果は以下のとおりである。マウスC57Blackを当初より筋芽細胞(myoblast)のドナー候補としていたが、過去の類似実験を参照し、FVBマウス(白マウス)をドナーとし、ヌードマウスをレシピエントとして実験を行っている。足底筋(Soleous muscle)を採取し、化学的、物理的に処理して得られた筋組織のシングルファイバーを、あらかじめ作成したマトリジェルコーティング培養皿上に静置しておくと筋芽細胞がマトリジェル上にファイバーから遊走する。この筋芽細胞の培養をさらに続けると筋芽細胞はお互いに融合し新生筋線維を形成し、条件が良ければ培養皿中で自律的に収縮弛緩を繰り返すことが確認された。しかし、この筋線維を足場(matrix)となるコラーゲンジェルやマトリジェルとともにヌードマウス皮下、あるいは筋肉中に移植しても筋組織は形成されず、一週間以内に吸収され消滅してしまう。尿道括約筋の再生実験では長期にわたり吸収されない筋組織を作成することが必須であり、新たな技術の開発が必要である。引き続きBcl-2やICADなどのアポトーシス抵抗性の因子の使用を考慮しているが、アデノウィルスベクターでの蛋白の大量発現はヒトでの臨床応用時に蛋白量のコントロールができないこととウィルスを使用することの安全上、倫理上の問題があり、実験段階では現在市販されている成長因子であるHGF(肝細胞増殖因子)、PDGF(血小板由来成長因子)、IGF(インシュリン様成長因子)等を用いてヌードマウスヘの移植実験を行っている。これまでの実験の一部を後述のCurrent Stem Cell Research & Therapy誌に発表している。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Current Stem Cell Research & Therapy Vol 1, Number 3
ページ: 333-343