研究課題
基盤研究(C)
1.候補遺伝子の遺伝多型を用いた疾病-対照群研究まず、候補遺伝子として、HPC2/ELAC2、HER2、LH-beta、PSA、CYP1B1を選定し、年齢と性別を合致させた前立腺癌患者285名と、対照群233名を研究対象として、それぞれ遺伝子多型頻度を求め、患者対照群間で比較した。[結果]HPC2/ELAC2では、Ala541Thr多型で、Thr多型が前立腺癌と有意に相関し、4.02という非常に高いORを認めた。また、HER2遺伝子解析では、Val655Ile多型について、Valが前立腺癌に有意になりにくいという結果で、オッズ比(OR)=0.48であった。ただし、何れも臨床病期や悪性度との相関はみられなかった。LH-beta、PSA、CYP1B1の多型解析では、患者対象群とも有意差を認めなかった。[考察]HER2とHPC2/ELAC2遺伝子は日本人の散発性前立腺癌の疾病感受性遺伝子であることが示された。2.日本の限局性前立腺癌に関する大規模な治療成績が明らかではないため、1996年から2002年の問で、根治的前立腺摘除術を受けた1192例を集計し、統計解析を行った。手術時年齢の中央値は67歳(47歳〜83歳)であった。全症例の観察期間は3.8年(中央値)と短いが、PSA再発を来した症例は25.3%あり、再発までの期間の中央値は術後369日であった。また、PSA再発と相関する臨床病理学的項目を検討した結果、単変量解析では、針生検のGleason score、癌陽性率、術前PSA値、病理病期、全摘標本のGleason scoreの4項目がLog-rank testで全てP<0.0001で、有意な因子であり、多変量解析でも、後者4つの因子が有意に相関していた。3.サンプルの収集サンプル収集を継続して行なっている。
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