研究課題/領域番号 |
16591606
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
舛森 直哉 札幌医科大学, 医学部・講師5 (20295356)
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研究分担者 |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50112454)
高橋 敦 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20274946)
加藤 和則 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60233780)
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キーワード | 前立腺癌 / 神経内分泌細胞 / 転移 / 浸潤 |
研究概要 |
マウス前立腺神経内分泌癌(NE10:ヌードマウスで継代可能なアログラフト、NE-CS:NE10より樹立したin vitro細胞株)によるヒト前立腺癌(LNCaP)の転移促進の機序の詳細を、細胞生物学的手法を用いて検討した。これまでに、NE10がLNCaPのin vivoでの肺転移を促進することを明らかにしてきた。一般的に、癌の転移の前段階として浸潤が重要であることはよく知られた事実である。NE-CSがLNCaPの浸潤に及ぼす影響をin vitro invasion assay systemを用いて検討したところ、NE-CSとのco-incubationおよびNE-CSの上清の添加によりLNCaPの浸潤能はコントロールに比較して有意に増加した。さらに、NE-CSが浸潤能を規定する重要な段階であるLNCaPの接着および遊走に及ぼす影響を、それぞれcell attachment assay、haptotactic migration assayを用いて検討した結果、NE-CSはLNCaPの遊走能を有意に増加させたが、LNCaPの接着能には影響を及ぼさなかった。LNCaPの遊走能の増加に関与する遺伝子を探索する目的でmicroarray解析を行ったところ、NE-CSの上清の添加によりアクチン調節蛋白であるgelsolin mRNAの発現増加が認められ、Northern blot解析でも同様の所見が得られた。以上の結果より、マウス前立腺神経内分泌癌(NE10/NE-CS)から分泌される何らかの因子がLNCaPのgelsolin遺伝子をup regulationして遊走能を増加させ、これにより浸潤能が増加して肺転移促進に関与していると考えられた。
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