研究課題
腎間質線維化は慢性進行性腎障害の予後規定因子としてその重要性が注目を集めている。腎間質の線維化においては先ず局所へのマクロファージ浸潤による間質炎症が先行し、引き続いて腎皮質線維化関連遺伝子発現が亢進する。したがって、炎症機転を抑制し局所へのマクロファージ誘導をコントロールすることが線維化発症を防ぐ上で重要となる。Activator protein-1 (AP-1)やNuclear factor-κB (NF-κB)はマクロファージ誘導に係わるmonocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1)遺伝子発現を調節する転写因子であり、その持続的な活性化が腎間質線維化の発症と進展と深い関連をもつ。これまでタクロリムス慢性腎障害モデルにおける腎間質線維化にNF-κBが関連することをNF-κB阻害剤Pyrrolidine Dithiocarbamate (PDTC)を用いて明らかにしてきた。一方、ポリフェノール類のCurcuminはAP-1やNF-κBに対する阻害作用を有することが報告されているが、Curcuminが腎間質線維化に関してどのような作用をもつのかこれまで詳細が明らかでなかった。そこで、腎線維化モデルである一側尿管結紮(UUO)ラットでUUO施行1週前からCurcuminを経口投与し、腎間質線維化予防効果を調べ、同時にPDTCによる効果と比較検討した。その結果、CurcuminがPDTCと同じように腎間質でのNF-κBの遺伝子発現を抑制し、MCP-1抑制を介して局所へのマクロファージ誘導と線維化を抑制していることが示された。但し、両者ともAP-1に関する効果は今回の検討では明らかでなかった。さらにRhoキナーゼ阻害剤等についてもUUOモデルでの線維化予防効果に対する同様の研究を通じて検討し、炎症反応を伴う腎線維化のメカニズムを多方面から明らかにしてゆく。
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