腎細胞癌患者の摘出腎の癌組織と正常腎組織を用いて、インターフェロンαレセプター遺伝子(1型:IFNAR1と2型:IFNAR2)のmRNAとタンパク質の発現を、各々real time RT-PCR法とWestern blottingにて定性化・定量化した。局所浸潤や転移を有する進行腎癌の症例の癌細胞では、早期癌の症例のそれと比べ、IFNAR2のmRNAと蛋白質の発現が高いのに対し、IFNAR1は有意差がなかった。更に局所に限局した腎細胞癌においても、術後に転移を併発したものでは、再発を来さないものと比べ、IFNAR2のmRNAと蛋白質の発現が高い傾向にあった。これらのことから、IFNAR2は予後を推察する因子に成り得る可能性が示唆され、これらの成果を国際誌に投稿すべく準備中である。 腎細胞癌との対比の意味で、他臓器癌でのインターフェロンαレセプター遺伝子の役割も検討しているが、膀胱癌と精巣癌においても、IFNAR2のmRNAとタンパク質の発現量は癌の異型度と進達度と正の相関関係を認めており、IFNARの発ガン・癌の進展における役割も今後とも検討していく予定である。
|