研究課題/領域番号 |
16591620
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
大東 貴志 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80185371)
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研究分担者 |
村井 勝 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90101956)
中島 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (10167546)
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00213885)
宮嶋 哲 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90245572)
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キーワード | アンドロゲン受容体 / 前立腺癌 / ビタミンE / 細胞周期 |
研究概要 |
平成17年度はアンドロゲン応答性前立腺細胞株LNCaPに対して2本鎖siRNAを導入したところARの発現の減弱が見られたが、細胞増殖に関しては期待された効果は得られなかった。これはLNCaPに対してはやはり導入効率の低さが影響していると考えられた。一方、前立腺癌の予防薬として注目されているビタミンEは、ARの発現には影響を与えないものの機能を抑制し、アンドロゲンの応答能に関わらず、AR発現前立腺癌の増殖を抑えた。マイクロアレイを用いた検索では、ビタミンE化合物であるvitamin E succinateがPSAやFK binding Proteinの発現が抑制するとともに、mini-chromosome maintenance (MCM)遺伝子やCdc45が抑制され、細胞がG1 arrestになることが示された。さらにタンパクレベルでの解析ではRbのリン酸化やCylinD1の発現が抑えられた。一方、G2 arrestを引き起こすパクリタキセルのような抗癌剤と併用することにより抗腫瘍効果の増強が見られた。またヌードマウスに移植したLNCaPに対してビタミンEとパクリタキセルの併用効果が示唆され、現在確認している。また遺伝子の発現をpost-transcriptionalに調整するHistone deacetylaseの阻害薬(HDACI)をLNCaPに使用したところ、著明なAR発現の抑制が見られた。さらにその下流のPSA、FK binding proteinの抑制も認められ、siRNAによらないAR抑制効果が認められた。HDACIはアンドロゲン依存性に関わらず、LNCaPの増殖を濃度依存性に抑制し、やはりG1 arrestを誘導したためAR陽性前立腺癌に対する抗AR療法の担い手としての可能性が示された。
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