研究概要 |
前立腺癌細胞におけるVEGFの発現について,2種類の細胞株(LNCaPおよびC4-2)を用いてホルモン抵抗性がVEGF産生に関与するのか検討した。その結果,ホルモン抵抗性前立腺癌細胞株C4-2は感受性細胞株LNCaPに比べ,有意にVEGFの産生が多く,AT1Rの発現も強いことが判明した(第14回泌尿器科分子・細胞研究会,盛岡,2005.2で報告)。また,これらの細胞株において,AT1R阻害剤が直接,抗腫瘍効果を認めるのか,in vitroにおいて検討を行ったところ,24-72hのAT1R阻害剤の投与にてもこれら細胞株における細胞増殖に影響を認めなかった。以上から,AT1R阻害剤の抗腫瘍効果は,血管新生阻害が中心であることが示唆された。次に,in vivoで検討を行った。上記の2種類の細胞株(LNCaPおよびC4-2)によるヌードマウス皮下腫瘍モデルを確立し,28日後にその腫瘍増殖速度,腫瘍内の微小血管密度,AT1Rの発現の差異等について検討を行っている。その結果はin vitroで得られた結果に近似し,ホルモン抵抗性は腫瘍内の血管新生を多く誘導する傾向を認めた。さらに,上記のヌードマウス皮下腫瘍モデルにおいてAT1R阻害剤を投与し,その効果について現在,検討中である。この結果については本年4月米国癌学会(AACR)ならびに第93回日本泌尿器科学会総会で発表する予定である。本研究は前立腺癌を対象としたものであるが,泌尿器科領域の他癌においても同様な現象が認められるのか,検討を加えている。膀胱癌(KU19-19)の皮下腫瘍モデルをヌードマウスに作成し,微小血管密度,AT1Rの発現について検討を行っている。
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