研究概要 |
尿路結石症は尿細管細胞障害・機能変化から結晶核形成・成長・凝集にいたるカスケードに遺伝子から環境までの多因子が複雑に絡み形成される疾患である。その外科的治療は体外衝撃波、内視鏡治療が確立されている。しかし、発生率・再発率の増加と医療経済の両面から発生機序の解明とそれに基づく薬物療法の確立が重要課題である。本研究の目的は新たに確立した微小環境における遺伝子解析システムを応用して、我々が最近同定したカルシウム結合蛋白遺伝子群Annexinsの発現と機能解析を行うこと、さらにゲノム創薬に架橋することを目指すことである。そのため今年度は腎尿細管培養細胞およびレーザーマイクロダイセクション法を用いた動物モデルの腎尿細管に選定したメッセージ回収と遺伝子発現解析、Annexins発現の機序の一因としての蓚酸による腎尿細管細胞障害からアポトーシスに至る過程、さらに遺伝子導入腎尿細管細胞を用い蓚酸カルシウム結晶付着能測定を試みた。 1.OCT包埋正常および0.4%エチレングリコール投与ラット腎組織からRNase free下に薄切し、特殊フィルムコートスライドに塗布。PALM robot-microbeamを用いlaser-captured microdissectionにて結晶形成を認める腎尿細管を選択的に採取、メッセージを回収した。 2.結石形成ラット腎におけるアポトーシスおよび関連遺伝子発現をTUNNEL法、RT-PCRで検証した。結石形成ラットでアポトーシスが誘発され、bcl-2,bax,p53,ICE,Fas-ligandの遺伝子発現およびタンパク発現に変化を認めた。
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