研究課題/領域番号 |
16591630
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
赤坂 聡一郎 産業医科大学, 医学部, 助手 (30320360)
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研究分担者 |
野村 昌良 産業医科大学, 医学部, 助手 (80369066)
笹栗 毅和 産業医科大学, 大学病院, 助教授 (70341493)
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キーワード | 性ステロイドホルモン / 化学膀胱炎 / 炎症 / エストロゲン / テストステロン / サイクロフォスファミド / 内臓痛 / アポトーシス |
研究概要 |
性ステロイドホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンおよびテストステロンは膀胱の形態および機能に関与することをよく知られている。しかしながら、膀胱の炎症に関する役割に関しては未だ不明である。本研究において我々は、まず卵巣摘除または精巣摘除ラットのサイクロフォスファミド膀胱炎の組織学的変化に対する影響を調べた。次に、卵巣摘除ラットにおいてエストロゲン単独またはエストロゲン+プロゲステロン処理の膀胱炎症に対する影響を調べた。さらに、卵巣摘除により引き起こされるアポトーシスの誘導を調べた。 卵巣摘除したラットにおいて、偽手術群と比べてサイクロフォスファミドにより誘導される膀胱の炎症が有意に高度であった。しかしながら精巣摘除群では、偽手術群とくらべて有意な変化を示さなかった。卵巣摘除したラットにエストロゲン、エストロゲン+プロゲステロン、オイルを投与した群で膀胱の炎症を比較したところ、エストロゲン投与群はオイル群にくらべて炎症の程度が有意に軽度であり、エストロゲン単独群とエストロゲン+プロゲステロン群では有意な差を認めなかった。また卵巣摘除により膀胱粘膜のアポトーシスが誘導されることを明らかにした。 本研究では卵巣摘除によりCP膀胱炎の組織学的変化が有意に高度になることを明らかにした。さらにエストロゲン処理により、オイル処理と比べて有意にCP膀胱炎の組織学的所見が改善した。一方、エストロゲン+プロゲステロン処理した群ではエストロゲン単独群と比べて有意な差を認めなった。これらの結果はエストロゲンが膀胱の炎症において関与していることを示唆している。またエストロゲン欠乏により誘導される膀胱粘膜のアポトーシスが関与している可能性が示唆された。
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