研究課題/領域番号 |
16591642
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 敏博 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80219063)
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研究分担者 |
矢野 哲 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90251264)
和田 修 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50372397)
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キーワード | 卵巣機能 / 酸化ストレス / 抗酸化剤 / コエンザイムQ10 / ビタミンC |
研究概要 |
高齢女性の卵巣機能低下に酸化ストレスが関与しているという仮説の元に、基礎的検討としてまず3ヶ月齢・6ヶ月齢・10ヶ月齢の雌マウスに対して、抗酸化剤であるコエンザイムQ10(CoQ10)及びビタミンC(vitC)につき1ヶ月間経口投与を行った。昨年度から行っている本研究を本年度も継続して行ったところ、いずれの月齢マウスにおいても卵巣組織への各薬剤の移行が認められた。またいずれの月齢においても血中濃度と卵巣組織濃度との比(移行率)に差は認められなかった。 次に、投与した薬剤の生物学的作用を観察する目的で、(1)マウス血清中の酸化ストレス及び抗酸化能の測定、並びに(2)卵巣重量の比較を行った。(1)については、FRAS-4システムを用いて測定した。その結果、CoQ10単独投与群・vitC単独投与群・併用投与群のいずれにおいても、血清酸化ストレス値(d-ROMs)は対照群と比較して10-20%程度低下していた。一方で、抗酸化能(BAP)に関しては、いずれの群においても差はみられなかった。また、(2)については、CoQ10単独投与群・vitC単独投与群・併用投与群のいずれにおいても、卵巣重量は対照群と比較して20-30%程度高値を示した。以上の結果から、抗酸化剤(CoQ10まはvitC)の投与により血清酸化ストレスは低下し、卵巣重量は増加することが確認された。 さらに卵巣機能あるいは卵子に対する作用をみる目的で、同様の処置を10ヶ月齢の雌マウスに対して行った後に、PMSG(5iu)-hCG(5iu)による卵巣刺激を行い、排卵数・体外受精を行った際の受精率及び卵割率の検討を試みたが、現時点では実験毎のデータのばらつきが大きく、確定的な結論を導くにはいたらなかった。今後実験条件を整備して、再度検討を試みる予定である。 また、当初は臨床的検討まで行う予定であったが、動物実験による基礎的検討が完了にいたらなかったため、こちらも改めて今後に検討を行う予定である。
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