研究概要 |
【結果】 1.(1)AG73,AG73SはTAC3への細胞接着効果を発揮した。(2)TAC3とAG73、AG73Sはインテグリンβ1,syndecan-1を介し接着した。(3)AG73,AG73SはラミニンとTAC3の接着を用量依存性に阻止した。さらには、抗がん剤によるTAC3のアポトーシスの誘導効果を増強した。これらの作用はAG73がより著名であった。 2.(1)C16、C16Yは卵巣がん細胞に対してアポトーシス誘導能を用量依存的に示した。(2)C16、C16Yは正常細胞(HUVEC)に対してアポトーシス誘導能を示さなかった。(3)C16、C16Yがbcl-2蛋白質の発現を減弱させた。これらの作用はC16Yがより著名であった。 このことから、AG73、AG73sは、インテグリンβ1,syndecan-1を介するTAC3とラミニンとの接着を阻止し、抗がん剤の作用を増強した。従ってAG73、AG73Sは卵巣癌腹膜播種の制御に有用である可能性がある。C16、C16Yは、bc1-2蛋白質を介して卵巣がん細胞にアポトーシスを誘導した。正常細胞にはアポトーシス誘導能を認めなかったことからC16、C16Yは卵巣癌の新たな治療法として用いられる可能性があるといえる。
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