研究概要 |
1.平成18年度までに、計33例の正常産褥婦を対象に、産褥期におけるプロテインC(PC)およびプロテインS(PS)の動態について検討した。 a) PCの推移:産褥0日、第一日、および第2〜3日におけるPC抗原量は、各々、123.2(SD25.4)、115.1(26.0),120.2(22.5)%、PC活性は、89.3(13.8),91.7(19.6),104.8(20.5)%であった。その変動に有意差はなかった。一方、PIVKA-PCは16.5(13.7)%,16.4(12.9),19.6(12.2)と推移、産褥経過とともに上昇する傾向が確認された。 b) PSの推移:産褥0日、第一日、および第2〜3日におけるPS抗原量は52.1(5.9),55.5(8.9),63.3(11.2)%と推移した。その値は正常値より低いものであった。一方、PIVKA-PSに関しては、各々、38.6(19.3)%,37.2(15.0),41.8(14.0)と推移、これはPIVKA-PCと同様の傾向を示したが、その値はPIVKA-PCと比較して有意に高値を呈した。 c)分娩様式との関連:c/s例(13例)と経膣例(20例)との比較の結果、c/s例において産褥第一日のPC抗原量の低下、PIVKA-PCの上昇が確認された。(U検定;p<0.01) e)肥満との関連(BMI>30):肥満例(n=2)において、PIVKA-PCは産褥0日平均46.2%,第一日37.1%と非肥満例と比較して高値を呈し、うち一例はPC活性の低下(<70%)を伴った。 f) APC感受性比とPIVKAsとの相関:今回の検討では両者間に有意な相関はみられなかった。(n=11) 2.培養実験:HUVECを用いてのE2刺激実験では、PIVKA-PC産生量に有意な変化はみられなかった。
|