二段階胚移植法の有効性に関する検討:滋賀医科大学産婦人科および関連施設において以下に記載するようなプロトコールに従ってヒト体外受精胚移植プログラムを遂行し、その臨床上の有用性を、受精率、卵割率、平均移植胚数、妊娠率、胚着床率、流産率、新生児異常の発生率、多胎率、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生率、患者年齢分布、平均年齢、体外受精の既往回数等のパラメータについて検討し、これを従来行われていた一段階の胚移植の成績と比較検討した。ヒト体外受精胚移植法のプログラムは、以下のごとき手順で行った。前周期黄体期7日目よりGnRHアゴニストを600mg/日で投与を開始、採卵予定日の11日前よりpure FSH 225単位を連日注射開始し、卵胞が成熟していることを確認した上で採卵予定日に採卵する。媒精および胚培養をP1+10%SSS液で行い、2日目および5日目に胚移植を経腹超音波ガイド下におこなう。なお、これらの臨床成績の一部は、すでに2005年3月にアメリカ不妊学会雑誌(Fertility and Sterility)に掲載された。現在もこの研究は進行中であり、母数を増加させ統計の信頼性を上げている。 胚由来子宮内膜修飾因子および着床促進物質の研究:胚由来子宮内膜修飾因子および着床促進物質の研究は、共同研究者である竹林浩一講師、木村文則助手が行っている。胚由来因子の同定は現在進行中であるが、その前段階として胚依存性の子宮内膜からの発現誘導される遺伝子群をマウスの系を用いて行った。この成果の一部はすでに第56回日本産科学婦人科学学術集会でも報告した。
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