研究課題
子宮頚癌の進展・転移におけるTSC403遺伝子・遺伝子産物の役割に関して解析が進み以下のように成果が得られてきている。定量的RT-PCRにより正常子宮頸部および子宮頚部異型上皮においてはTSC403 mRNAはほとんど発現していないが、子宮頚癌組織において高発現していることが明らかとなった。さらに、臨床検体である手術摘出標本を免疫染色しTSC403遺伝子産物の高発現が子宮癌組織の原発巣およびリンパ管侵襲部位、リンパ節転移部位において認められた。この遺伝子産物の機能を解析するために、発現ベクターを作製し子宮頚癌細胞株に安定導入した。このTSC403高発現株とコントロールベクターを導入した株の浸潤能をみるためにIn vivo invasion assayを行った。その結果からTSC403の高発現は子宮頚癌細胞株に高い浸潤能を与えることが明らかとなった。これら結果はScid mouseを使ったin vivo metastasis assayにおいてTSC403高発現細胞株を皮下注入したマウスに有意に遠隔転移およびリンパ節転移が多く見られた結果と同調している。また、Stage I/IIの子宮頚癌患者をTSC403の発現の高低で予後を解析するとTSC403の発現レベルが予後因子となり得る可能性が示唆された。後に、TSC403はLAMP3,DC-LAMP,CD208と同じタンパクであることがわかり現在はLAMP3が公式名称として使われている。我々は以上の結果を国際雑誌で公表してきた。
すべて 2005
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Cancer Research 65(19)
ページ: 8640-8650