研究課題/領域番号 |
16591666
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
月森 清巳 九州大学, 大学病院, 助手 (90253450)
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研究分担者 |
中野 仁雄 九州大学, 医学研究院, 特任教授 (40038766)
福嶋 恒太郎 九州大学, 大学病院, 助手 (40304779)
園田 顕三 九州大学, 大学病院, 助手 (30294929)
吉村 宜純 九州大学, 大学病院, 助手 (30404081)
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キーワード | 妊娠中毒症 / 胎盤形成障害 / 血管内皮細胞 / 好中球 / 全身性炎症反応 |
研究概要 |
本研究では、好中球と血管内皮細胞の態様の観察を介して、妊娠中毒症における血管内皮細胞を障害する機序と胎盤の形成障害とを関連付け、本症の病態形成過程を明らかにすることを目的とした。この主旨に沿って、妊娠中毒症症例における胎盤の形態、絨毛細胞の機能および好中球・血管内皮細胞に作用する母体血清因子の発現について観察し、胎盤の形成障害と母体血清因子の発現との関連についてin vitroで検討を加えた。ついで、子宮胎盤循環障害ラットを用いて、胎盤の形態、絨毛細胞の機能、母獣血清因子の発現および母獣血管内皮細胞機能について経時的に観察し、胎盤の形成障害から全身の血管内皮細胞障害を引き起こす機序についてin vivoで検討を加えた。その結果、妊娠中毒症症例におけるin vitroでの検討では、母体血清には好中球を活性化する因子が妊娠中毒症の臨床症状が発現する前より存在すること、この活性化した好中球は一酸化窒素(NO)より活性酸素(O_<2^->)を優位に産生し、血管内皮細胞を障害すること、この好中球による血管内皮細胞障害機序としてO_<2^->より生成されるフリーラジカル(H_2O_2およびONOO^-)が関与することが明らかとなった。また、L-NAME投与による子宮胎盤循環障害ラットを用いたin vivoでの検討では、L-NAME投与群では胎盤絨毛細胞の浸潤能の低下とアポトーシスの発現増強が認められること、母獣血清中には絨毛細胞障害因子が発現すること、母獣血清TNFα濃度の上昇と胎盤TNFαの発現の増強が認められることが明らかとなった。これらの成績から、胎盤の形成障害では、胎盤における虚血・再還流刺激により胎盤から炎症性サイトカインやペプチドの産生が亢進し、好中球の活性化といった全身の炎症性反応を引き起こし母体の全身血管内皮細胞障害に関与していることが示唆された。
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