研究課題/領域番号 |
16591667
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮本 新吾 九州大学, 大学病院, 助手 (40209945)
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研究分担者 |
園田 顕三 九州大学, 大学病院, 助手 (30294929)
目加田 英輔 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20135742)
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キーワード | Ovarian Cancer / HB-EGF / Transactivation / EGFR / インテグリン / EGFRリガンド |
研究概要 |
卵巣癌は最も発生頻度の高い婦人科悪性疾患で、タキサン系・プラチナ系抗癌剤の開発によりQOLは改善しているものの5年生存率は30-40%と臨床的にも極めて予後不良である。近年、加速度的に分子標的治療の開発が行われているが、卵巣癌増殖機構が十分に理解されていないことにより、有効性の高い治療が未だ開発されていないのが現状である。現在まで、卵巣癌増殖機構において(1)卵巣癌増殖因子としてLPA(Lysophosphatidic Acid)(2)EGFRの発現が重要であること、が明らかにされている。LPAはEGFRリガンドを膜型から分泌型に変換してEGFRを活性化する(Transactivation)ことから、本研究の目的は、EGFRリガンドを標的として新たな分子標的治療の開発を行うことである。現在までの本研究の成果は、(1)卵巣癌患者の腹水中に卵巣癌早期よりHB-EGFがamphiregulin, TGF-αなどの他のEGFRリガンドに比較し著明に高い濃度で含まれていること(2)卵巣癌患者の組織内でのEGFRリガンドの発現量をReal-Time PCRにて解析した結果、HB-EGFが特異的に高発現していること(3)卵巣癌細胞株を用いた実験により、HB-EGFに対するsiRNA遺伝子の導入によりヌードマウス上での腫瘍の抑制を認め、HB-EGFが卵巣癌増殖機構を制御していること(4)HB-EGFの特異的抑制剤CRM197の投与によりヌードマウス上での腫瘍の消失を認めた、である。以上の結果から、(1)卵巣癌の分子標的治療としてHB-EGFを標的とする妥当性(2)CRM197が卵巣癌標的治療薬として活用できる可能性、が明らかとなった。
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