研究課題/領域番号 |
16591670
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
三浦 清徳 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00363490)
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研究分担者 |
増崎 英明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (00173740)
平木 宏一 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (30372775)
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キーワード | Confined placental mosaicism / real-time RT-PCR / DNA多型マーカー / matermal plasma / placental DNA / placental mRNA / cord blood / maternal DNA |
研究概要 |
本年度は、母体血漿中胎児成分の供給源を明らかにし、胎盤特異的遺伝子発現と後生的遺伝子修飾機序(エピジェネティクス)を指標とした母体血漿中胎児DNAおよびRNAの胎盤機能への臨床応用の可能性を追求するため、期間内のターゲットとして以下の3点について、検討を加えた。 1.Confined placental mosaicism (CPM)症例を用いて、父性由来のトリソミーアレルを母体血漿中に検出し得るのか否か検討し、母体血漿中胎児DNAの供給源を検証した。その結果、父性トリソミーを有するCPM3例を同定し、母体血漿中においてこれらトリソミーアレルを検出し得た。また、これらのトリソミーアレルは、分娩後一ヶ月に採取した母体血漿中から消失していた。胎盤は、母体血漿中に混在する浮遊胎児DNAの主な供給源の一つであることが示唆された。この結果を、英文論文として報告した(Masuzaki et al. J Med Genet. 2004)。また、逆に臍帯血中への母体成分の流入に、陣痛が影響していることを確認し、これを英文論文として報告した(Masuzaki et al. Clinical Chemistry. 2004)。 2.胎盤特異的に発現する遺伝子について、母体血漿中の遺伝子発現量の基準値を妊娠中経時的に設定した。異常症例と比較し、妊娠中の胎盤機能をモニターし得る分子遺伝学的マーカーとしての可能性を検討した。その結果、real-time RT-PCR法を用いた定量系で、母体血漿中におけるhCG-β mRNAレベルは妊娠12週にピークに到達し、その後は妊娠経過とともに減少していた。一方、hPL mRNAレベルは妊娠経過とともに増加していた。本法の臨床応用として、膀胱浸潤を認める前置胎盤例における穿通胎盤の状態をモニターすることが可能であった。したがって、real-time RT-PCR法を用いた母体血漿中hCG-β mRNAレベルおよびhPL mRNAレベルの定量は、妊娠中の胎盤機能をモニターし得る分子遺伝学的マーカーとしての可能性が示された。この成果を英文論文として報告し、アクセプトされた(Masuzaki et al. Clinical Chemistry. In Press)。 3.母体血漿中胎児DNAおよびRNAで、妊娠各時期におけるヒトゲノム刷り込み遺伝子H19メチル化状態を解析し、胎盤のエピジェネティクスにおけるマーカーとしての可能性を検討している。
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