本研究の目的は、塩基配列決定に基づいた、ヒトパピローマウイルス(HPV)型及びそのバリアントの網羅的な発癌リスク評価を行うことである。これまでに、頸癌症例、異形成症例、正常細胞で検出された既知のHPV型は30種であった。それらの型内バリアントの内訳は6型が2種類、16型が5種類、18型が5種類、31型が2種類、33型が2種類、35型が3種類、43が3種類、51型が5種類、52型が5種類、53型が3種類、54型が2種類、56型が6種類、58型が2種類、59型が3種類、66型が3種類、67型が4種類、68型が6種類、70型が2種類、71型が2種類、72型が3種類、82型が2種類、84型が2種類、90型が4種類、91型が2種類であった。さらに、それら以外に、6つの未知型があった。複数感染と思われる症例は癌症例より正常例に多くみられる傾向があった。型別にみると、正常例に多く見られ発癌リスクが少ないと統計的に有意差があったのは、6、32、39、42、54、61、67、71、72、84、86、90、91型であった。逆に、癌症例に多く発癌リスクが高いのは、16、18、31、33、35、45、51、52、53、56、58、59、66、68、70、73、82型であった。また、一般的に感染率が高いと思われるのは、16、33、35、51、52、53、56、68、71、90、91型であった。現在、症例は増加中であり、これらに感染している型・バリアントの組織診断別、年齢別の感染実態のデータを蓄積中で、同型の中でもリスク評価の異なるバリアントが存在する可能性があった。
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