研究概要 |
ヒトカリクレイン(Human KLK)4,5,6,9,10,11について,臨床検体間における遺伝子発現量比較のために,ABI PRISM 7700 Sequence Detector(ABI)を利用したTaqMan Probe Real-time RT-PCR法の系を確立し,本年度は臨床検体の分析に着手した. 提供者の文書による同意の下,手術検体より得られた卵巣腫瘍組織26検体の各々の組織よりQIAGEN Rneasy KiRNA抽出し,oligo-dT primerを用いてcomplementary DNAを作製,β-actin発現を通常PCRで確認し,RNAの変性が最小限であることを確認した. Real-time PCR法にてHuman KLKサブタイプの遺伝子発現を定量的に解析したところ,KLK4の発現は卵巣癌組織ではほとんど認められないことがわかった.一方でKLK9,10は各種卵巣癌組織において50%以上の頻度で高発現していることが見出された.また,KLK5および6の遺伝子発現は,serous type adenocarcinomaでの発現頻度が高くかつ発現量も多く,clear cell adenocarcinomaでは発現頻度が低い傾向が認められた. 現在,さらに検体数を増やして,上記の組織型別の傾向をさらに詳細に統計的に解析するとともに,患者の臨床進行期や予後との相関,各種臨床データ(腫瘍マーカーなど)との関連についての解析をすすめている.
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